湘南辺りの音楽情報とか
by swingfuji
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中西文彦 @ ハリマオ・ロッジ

緩急の自由自在さ、中西文彦さんの魅力のひとつだと思います。
とても抑制が効いています。曲の雰囲気に酔って溺れるという
ことがありません。それは演奏家としてあたりまえのことなの
かもしれません。しかし、その洗練はその質において限られた
演奏家の音楽でしか聴くことができない高いものになっている
と感じられるのでした。

c0114339_153962.jpg


ただ、今夜はそこにどこか先を急ぐような感覚があります。
緩から急、急から緩、そのうつろいのさなかの踏みこみが
わずかに早い、こわれものを抱えた早足の気配があります。

今夜の音楽が不出来だということではありません。

その音はこれまでになく澄んでいます。透明な音です。
どことなく、鉱石の結晶を想わせるところがあります。
乾いていてごく薄く、硬いけれどひどく脆い、
そんな危ういような美しさを湛えた音だと思います。

そう、今夜の音楽は不出来などではありません。

c0114339_1532359.jpg


あまり体調がよくなくて、ということは聞いていました。
今夜の音楽にはそのことが現れているのかもしれません。
体調が良いから、その音楽も良い。
体調が悪いから、その音楽も悪い。

必ずしもそうではないところに音楽の或いは芸術というものの
凄みがあります。残酷な言いかたをしてしまえばこうなります。
今夜、中西文彦さんの体調は最悪であった。
儚いような美貌の音楽はそれが故に鳴った。

如何ですか、酷いような言いかたですよね。
でも、もっと無慈悲なことが他にあります。
そう、それは、わたしがそうだと知りながら
その美貌を享受してしまう、ということです。

c0114339_1533587.jpg


最後の曲です。
中西文彦さんとしては今夜が初演だと思います。

生涯にわたしが取りだし得るもっとも美しい旋律・・・
うろ覚えですが、確か作曲家はこの自らの作品について
そのように述べたのではなかったでしょうか、名曲です。
名曲なのですが、この国では湿った演奏になりがちです。
中西文彦さんはどのように聴かせてくださるのでしょう。



別れの曲
"Etude op.10-3"

----- 10月25日 -----
@ Harimau Loji
鎌倉市大町3-1-20
中西文彦(guitar)


----- あとがき -----
そう、冷酷なフミヒカディクト(Fumihicaddict)を自認する
わたしのようなものにとって、ここは待ち望んでいた場所です。
これからもここで中西文彦さんの音楽の定点観測を続けたいと
思っています。もちろん観測希望者は随時募集中です、はい。

それでは、皆さま、ごきげんよう。

                      よのゐかをる
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by swingfuji | 2008-10-31 02:09

中西文彦 @ ハリマオ・ロッジ



丘の嘆き
"Lamento do Morro"


----- 10月25日 -----
@ Harimau Loji
鎌倉市大町3-1-20
中西文彦(guitar)


本日(10/30、木曜日)、サウサリートで
中西文彦さんのソロ・ギター演奏会があります。
もしかしたら、このガロートの名曲をごく近い距離で
聴くことができるかもしれません。
是非、遊びに来てくださいね。

----- 10/30 -----
Sausalito
藤沢市南藤沢23-5 東ビル2F
0466-27-9966
「Blue Brasil」
19:30 open
20:00 start
¥1,500(1drink)
中西文彦(guitar)
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by swingfuji | 2008-10-30 00:05

中西文彦 @ ハリマオ・ロッジ



ジェット機のサンバ
"Samba do Avião"


----- 10月25日 -----
@ Harimau Loji
鎌倉市大町3-1-20
中西文彦(guitar)

いわずと知れたトム・ジョビンの名曲です。
いつか書きましたけれども、この曲の胸が踊るような
あの感覚は出発の喜びによるものではなくて、自分の
街に帰って来たことへの安堵というところがいかにも
トム・ジョビンらしくていいですよね。
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by swingfuji | 2008-10-29 21:09

中西文彦 @ ハリマオ・ロッジ



ユリディスのワルツ
"Valsa de Euridice"


----- 10月25日 -----
@ Harimau Loji
鎌倉市大町3-1-20
中西文彦(guitar)

えーと、通りに面したお店なのでした。
自動車の音等、ノイズがのっておりますが、
それを含めた臨場感をお楽しみいただければ、
と思います。
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by swingfuji | 2008-10-29 00:05

中西文彦 @ ハリマオ・ロッジ

そう、ジャングルの動物観察小屋をイメージして・・
というお店のしつらえなのですが、とてもポップです。
ここなら雨季のジャングルでも楽しく過ごせそうです。

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キッチンからはおいしそうな匂いがただよっています。
かわいらしい豆鹿からパンテ・ネグロのような猛獣まで、
おなかを空かせた動物たちが今にも集まってきそうです。

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やがてカウンターには目にもあざやかなお料理が並びました。

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お料理は一品¥200でお好きなものをどうぞ、
といういたって気軽なスタイルで供されます。

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これって演奏会があるときだけなのかな? とか思っていたら、
ご近所の方でしょうか、ふらりと入って来られた方があります。
いや、晩のおかずをと思って、と言いながら何品か選ばれると、
そのままお持ちかえりになりました。どうやら、ここは界隈の
お惣菜屋さんとしても定着しつつあるようなのでした。

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正しいお料理名を失念してしまいましたが(すみません)、
今夜、わたしがいただいたのはこちらの三品です。

・大きめのししとうのグリエ、チリペパー・ソース
・海老とプティ・サレのブロシエ、ハーブ添え
・鱸のポワレ、バジル・ソース、洋梨のコンポート添え

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いやあ、どれもこれもとてもおいしい。
よそ行き顔ではないのもうれしいところです。
ごちそうさまでした。


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そうそう、ワンダー・キッチンでもおなじみだった
ヴォリュームたっぷりのプレートもあります、はい。

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あ、ウリ元店長!おひさしぶりです、お元気でしたか?



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中西文彦さんが椅子に腰をおろしました。
糸まきに手をやって調弦をしています。
どうやら楽しい音楽の時間がはじまるようです。



----- 10月25日 -----
@ Harimau Loji
鎌倉市大町3-1-20
中西文彦(guitar)
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by swingfuji | 2008-10-28 23:01

中西文彦 @ ハリマオ・ロッジ

鎌倉の大町に『Harimau Loji(ハリマオ・ロッジ)』という
お店があります。オープンしたばかりのあたらしいお店です。

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看板には "Wander Kitchen presents" とあります。

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おや? と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうです、長谷から忽然といなくなってしまったあのカフェ、
ワンダー・キッチンが姿を変えてふたたびこの地に現れたと、
そういうことなのでした。

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さすがは「彷徨える厨房、さすらいの台所」というところですが、
なにしろ、ある日突然サハラ砂漠の真ん中にお店を出していても
ちっともおかしくない(ほんとに出しかねない)人たちですから、
長谷・大町くらいのジャンプは席替え程度のことなのだと思います。

c0114339_22341022.jpg


今夜、ここで中西文彦さんのソロ・ギターを聴くことができます。
そうです、好評だったあの定期演奏会がここで再開されるのです。
またあのギターを聴くことができる、そう思うととっても嬉しい。

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動画やルポなどアップしてみます。
是非、ご覧になってくださいね。


----- 10月25日 -----
@ Harimau Loji
鎌倉市大町3-1-20
中西文彦(guitar)
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by swingfuji | 2008-10-28 00:05

Mr.C.I.

子供のころ、土曜日の夜8時といえば、
きっとテレビの前に座していたものだ。

在りし日の故人は、武道館であのビートルズと同じ
ステージに立ったこともあるミュージシャンであり、
ゴールデン・タイムの人気テレビ番組に出演する
知らぬものとてない有名なコメディアンであった。

年齢を重ねてからも、その押しつけがましさのない渋さが
妙味となって、唯一無二の存在感を示す稀有な役者として
映画やテレビ・ドラマに多く出演されていたものであった。

そんな故人にあっては、演出家の要求に応えて
男の野卑な色気をコマーシャル・フィルムに
焼きつけるが如きは朝飯まえであったに違いない。

ふと、こんなことを書きつけてみる。

ジャズが演奏できるミュージシャンはどこにでもいる。
だが、ジャズ・メンはどこにもいなくなってしまった。

匂うような強烈な色気を放つジャズ・メンが
どこからかまた現れたりしないものだろうか?

たとえば、それが演技であってもまったく構わない。
そう、この Mr.C.I. のように酔わせてくれるものなら。

なんだか無性にビールが飲みたくなった。



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by swingfuji | 2008-10-24 00:05

magic bus @ sausalito

今宵 Pazzi Monk Soul Combo(パッツィ・モンク・ソウル・コンボ)が
緊急発進でお届けする、ワイルド・ソウル・レヴュー(?)なのでした。

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あのサウサリートでデビューです。
なんという幸運、なんという緊張。

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ほとんど目眩がしそうなテイク・オフ、どきどきものです。
けど、音楽が鳴ってさえしまえばこっちのものなのでした。

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ルポなんて書けるわけがありません、はい。

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Frank West 氏をはじめとするサウサリート常連の皆さん。
遠くから駆けつけてくださったメンバーのお友達の皆さん。
あたたかい声援とおおきな拍手、ずっと忘れません。
ありがとうございました。

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素晴らしい機会を与えてくださったジョージさん。
楽しかったです、本当にありがとうございました。


----- 10/11 -----
Magic Bus < swinging fujisawa 2008 >
@ Sausalito
DJ:Empty・S and .....
LIVE:Pazzi Monk Soul Combo


----- Pazzi Monk Soul Combo -----
Kyoco(lead vocal & tambourine)
Mutsumi(keyboard & vocal)
Kashiwa(guitar & lead vocal)
Yonoi(Fender bass)
and a tonight's especial player was ...
George(bongo)
--- set list ---
Head start for happiness
Heat wave
We can work it out
Lady madonna
--- encore ---
Heat wave(fast track version)


----- all photographs by Frank West -----


----- epilogue -----
貯めこんでいた数十年分のエイプリル・フールを
ここ数日間のエントリですべて遣い果たしてみた。
ということにしてしまえば、
幾らかその罪が軽くなったりはしないものだろうか?
とか思いました。
                 よのゐかをる
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by swingfuji | 2008-10-20 21:30

Pazzi Monk Soul Combo

場所と時間は変わって藤沢、三週間ほど前のこと、
界隈のとある(けれど言わずと知れた)酒場での会話。

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よのゐ「・・という掌編が、その洋書の短編集に載っていたわけです」
店 主「ふーん、なんだか切ないような話だよね」
よのゐ「まあそうですね、でもこの話には後日談があるのです」
店 主「へえ、どんな?」
よのゐ「その短編集は十年まえに発刊されてイギリスではそこそこ売れた
    らしいのです。で、British VOGUE だか British GQ だったか
    忘れましたけれども、どこかの雑誌がその本に登場する12人の
    その後、みたいな企画を掲載したのですって」
店 主「へえ、で、彼はどうなったの? えーと何て言ったっけ?」
よのゐ「パッツィ・モンク」
店 主「そう、その人」
よのゐ「それが、なんというか映画みたいなお話なのですが・・・」

当時、その短編集と雑誌を読んだイギリスの友人に聞いた話はこうだ。
パッツィ・モンクことエミリアーノ・パッツィは殆ど全ての財産を
失ったのだったけれども、彼の父親が遺してくれた山あいの小さな
葡萄畑だけは債権者の手に渡ることもなく、そのまま彼の持ち物と
して残った。まあ、言ってしまえば誰も手に入れたがらないような
土地だったというだけのことなのだが、彼にとっては父親の唯一の
形見であり、また唯一の拠りどころでもあるわけなので、ほどなく
して近在の農家に手伝ってもらいながら荒れていた畑を手入れして
葡萄を育て、少量ながらもワインを生産するようになったのだった。

トリノがあるピエモンテ州はワインの産地として世界的に有名だが、
そのピエモンテ産のワインでここ二十年来、熱心なワイン愛好家から
あの幻の、という冠詞つきで大変に珍重されている逸品があることを
皆さんはご存知だろうか?

という見出しで始まるその雑誌の見開きのページには、
あのパッツィ・モンクことエミリアーノ・パッツィが
収穫前の葡萄畑を背にして少しばかり恥ずかしそうな表情を
浮かべて笑っている写真が掲載されていたのだそうだ。

友人にそのワインのことは知っているかと尋ねたところ、
もちろん知っている、知ってはいるが飲んだことは一度もない、
あれは僕たちが簡単に手にいれられるようなものじゃないんだよ、
と言って小さく笑った。

よのゐ「で、マーサ&ザ・ヴァンデラスのレコードについては
    何か書いてなかったの?」
友 人「もちろん書いてあったさ、どこまで本当なのかはわからないけど」

そう、 これだけが唯一ロンドンから持ち帰った品物でした。
何故そうしたのか忘れましたが、ワイン造りが軌道に乗り始めた頃に
ふと思いついてこのレコードを貯蔵庫で眠っているワインに聴かせて
みたのです。そうです、日に一度、毎日かかさずにね。そうしたら
不思議なことにワインの味がぐっと良くなりました。ある年などは
大変に不出来な年で近在の醸造家は皆あきらめたものでしたが、
うちのワインだけはいつもと変わらない味に仕上がってくれましたよ。
それもこのレコードのおかげですね。すっかりすり減ってしまったので、
最近ではCDをかけているのですがね。ときおり孫娘がやって来ては
「おじいちゃん、この曲とってもクールね」なんて言っていますよ。

という彼の語りで終わる最後のページには、ぼろぼろになった
マーサ&ザ・ヴァンデラスのレコードをしっかりと胸に抱えた
あのパッツィ・モンクことエミリアーノ・パッツィが貯蔵庫の
がっしりとした扉を背にして少しばかり恥ずかしそうな表情を
浮かべて笑っている写真が掲載されていたのだそうだ。


よのゐ「・・・ということなのです」
店 主「えーっと、それってどこまでが本当の話なんだろうね?」
よのゐ「さあ? どうなのでしょうか・・・ところで、今度ここで
    演奏させてもらうグループことなのですが」
店 主「ああ、はいはい。次回の magic bus のときのね」
よのゐ「名前を Pazzi Monk Soul Combo にしようかと思っているのです」
店 主「その伝説のモータウンマニアの夢を継ぐってこと? いいんじゃない」
よのゐ「では、そうさせて頂きます。もっともこんな話、誰も知らない
    でしょうけれどもね」


----- 10/11 -----
@ Sausalito
Magic Bus < swinging fujisawa 2008 >
DJ:Empty・S and .....
LIVE:Pazzi Monk Soul Combo
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by swingfuji | 2008-10-19 02:18

Pazzi Monk Soul Combo

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かわいそうなパッツィ・モンクのお話をしてあげようか?

1968年、イタリアはトリノ出身の貴族の末裔、エミリアーノ・パッツィは
留学先のイギリスはロンドンで酒と薬とレコードに溺れた暮らしをしていた。

そんなある日、父親であるアナスタージオ・パッツィ卿が趣味でもあった
トリュフ狩りの最中に心不全で急逝し、一夜にしてその莫大な遺産の全てを
相続した彼は、財力にものを言わせてカーナビー・ストリートでも指おりの
豪奢なマンシオンを買い取り、演奏と録音に必要なありったけの最新機材を
地下室につっこんで、当時としては最先端のレコーディング・スタジオを
またたく間にむりやり作りあげてしまったのだった。

それは何故か?

あのモータウン・レコードのファンク・ブラザースにも負けないような
とびっきりのグループを組んで、ヒップなヒット・レコードを連発する。
そう、それこそがここ数ヶ月のうちに彼が想い描いていた夢だったから。

それから毎晩のように地下室のスタジオではオーディションが繰り返された。
イギリス中から凄腕のミュージシャンが星の数ほど集められたのだけれども、
彼が夢に見ていたとびっきりのグループが結成されることはついになかった。

それは何故か?

とある晩のこと、何回目かのオーディションが終わると、
世界的に有名なあのギタリストが愛用のレス・ポールを
ケースにしまいながらエミリアーノに向かってこう言ったのだった。

「かわいそうなパッツィ・モンク、お前さんが歌を唄おうなんて
 馬鹿なことさえ考えなけりゃ、このグループは大成功まちがい
 なしなんだがな、おわかりかい?」

そう、つまりはそういうこと、おわかり?

ちなみにパッツィ・モンクって、界隈の口さがない連中が
彼につけたあだ名なんだ、知ってたかい。小雨の降る通りを
レコードを小脇に抱えた彼がうれしそうに歩くときには、きっと
アノラックをフードまできっちりかぶって着ていたからなんだって。
「おい見ろよ、あいつまるでモンク(修道僧)みたいだな」
だってさ。

夢破れた(たかだか数ヶ月のとはいえ)パッツィ・モンクは
その後どうなったのか?

沢山あったお金もやがて底をつき、カーナビー・ストリートの
豪奢なマンシオンも、最先端のレコーディング・スタジオも、
夢中で集めたヒップきわまりないあのレコード・コレクシオンも、
なにもかも全てを手放すことになった彼は失意のなか、
独りきり故郷のトリノへ引きあげて行ったものらしい。

早朝の地下鉄ピカデリー・サーカス駅で最後に彼を見かけた
彼の友人(数少ないほんとうの)によれば、着古したよれよれの
ツィード・ジャケットに例のあのアノラックをはおって、
懐にはマーサ&ザ・ヴァンデラスの 7インチだけをとってもとっても
大切そうに抱えて、ヒースロー行の始発に早足に乗り込んで行ったんだって。
あいつ、その一枚だけはどうしても手放すことができなかったんだろうって。

おしまい。


"SWINGING LONDON:12 phoney stories"
chapter.4-1
"Let me tell you about Pazzi Monk"
Graham.T.Elliot
HENRY AITKEN PUBLISHERS
Carnaby ST
Westminster, London SW4 1RE


訳(中略あり) よのゐかをる


----- Martha & the Vandellas "HEAT WAVE" -----


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by swingfuji | 2008-10-18 21:51