ワインを表現する言葉に『フル・ボディ』というものがあるそうです。
この音楽は『フル・ボディ』である。
言葉の遊びとわかっています。でも、そう言ってみたくなるのです。
音に量感を感じることができます。
果肉のぎゅっとつまった、果実のような。
音に危うさを感じることができます。
触るのがためらわれるほど、薄くふいた硝子のような。
饒舌であったり、寡黙であったり。
結ばっていたり、ほどけていたり。
悲しくなるほど豊かな音楽。
ほかで聴いたことはありません。
この夜、サウサリートは幸せなお客さまであふれていました。